アラブ世界では新たな春とともに一連の政治危機が再び訪れている。今回は「賞味期限」を過ぎて久しい独裁者たちが、アルジェリアとスーダンで打倒された。両国では、支配階層のエリートたちが寄り集まって、多くの怒れる抗議行動参加者らの不満を静めようとしている。だが、陰謀をめぐらすことには慣れていても、過去何十年間も政治的圧力から隔絶されてきた彼らには何の方策も示せていない。「この地域が必要とするのは、経済改革と開かれた政治だ」などと、開発理論と民主化促進のマントラを唱えるのは簡単だ。こうした決まり文句は、真実であると同時に、無意味でもある。避けがたい経済・社会的圧力の高まりは、パキスタンから北アフリカに至る地域で脱植民地化後の機能不全に陥った各国の社会秩序を、地殻の下から噴き出す溶岩のようにのみ込もうとしている。これにどう対処すべきかについて、わずかでも方策を示せる者は、この地域にも欧米諸国にも誰一人いない。