地熱発電をめぐる環境は改善しつつあります。
福島第一原子力発電所の事故以降、地熱発電を推進する動きが徐々に広がっている Photo:PIXTA

2011年の福島第一原発事故直後、再生可能エネルギーとして一躍脚光を浴びたのが「地熱エネルギー」。火山国の日本にとって、うってつけの発電方法に思えるが、現在、地熱発電の電力供給量が54万kWと総発電量の0.2%にすぎないのはなぜか。地熱発電の歴史と現状や、将来について、九州大学名誉教授で現在地熱情報研究所代表の江原幸雄氏に話を聞いた。(清談社 福田晃広)

日本は世界第3位の
地熱資源大国

 まず地熱発電の話に入る前に、地熱エネルギーとはそもそも何なのか。

 地熱発電が扱う地熱エネルギーとは、「地球内部の熱(中心部約6370kmの深さでおよそ5000~6000℃)のうち、地表から数km以内に存在する利用可能な熱エネルギー」のこと。その地熱エネルギーでつくられた蒸気や熱水がたまっているところを“地熱貯留層”という。

 地熱発電は、この地熱貯留層に井戸を掘り、吹き出した蒸気の力で直接タービン(プロペラのようなもの)を回して発電機を動かし、電力を生み出すという仕組みだ。

 地熱発電の歴史を振り返ると、世界最初の地熱発電は1904年、イタリア北部のラルデレロという地域で始まった。

 日本では1925年に大分県別府市で、1.12kWの試験的地熱発電に初めて成功。その後、1946年から地熱発電の研究が進み始め、1966年に本格的な地熱発電所である岩手県松川地熱発電所が日本で初めて建設された。

 そして、1999年までに日本全国で18ヵ所、総設備量54万kWの地熱発電国になったものの、今年1月、22年ぶりに岩手県で出力7000kWを超える地熱発電所が本格的に稼働するまで、地熱発電所の建設は遅々として進んでいなかった。

 日本には2347万kW(発電量換算)の地熱資源があるという。地熱エネルギーの点ではアメリカ、インドネシアに次いで、世界3位の“資源大国”なのだ。にもかかわらず、なぜこれまで地熱発電が普及しなかったのか。江原氏はこう説明する。

「1970年代、石炭や石油に代わる資源として候補に挙がった。一定の前進はあったが、石油供給事情が好転する中で、地熱を含めた再生可能エネルギーより、原子力および石炭が選択されました。当時は原子力や石炭の方が安い発電コストだと試算されていたので、国は地熱より原子力や石炭を推進したのです」(江原氏、以下同)