「学校に無理やり行かされたこともありました。当時は、先生や親の言うことに従うのが優等生。学校に行くのは当たり前だったんです」

 それでも学校で気になる行事などがあると、内科的な症状になって熱が上がり、休むこともあった。高校は、推薦入試で私立に入った。そして、大学を中退後、求人広告の会社に入社して営業の仕事をした。

 しかし、Aさんは職場や人間関係になじめず、半年で辞めた後、警備会社に入った。営業の仕事は前職でこりごりだったのに、社員になって配属された先はまた営業だった。ただ、その職場では実績を上げ、十数年勤務し続けた。

6つの会社の営業職を転々
足に潰瘍ができて動けなくなる

 その後、Aさんは先輩が独立した会社に引き抜かれて、転職した。こうしてAさんは、ほとんどが声をかけられる形で、6つの会社の営業職を転々とした。

 そして、Aさんが最後に仕事をしたのは、3年間、警備会社での工事現場の警備員だった。そもそもは内勤の仕事だったのに、「人手が足りないから」という理由で、外の警備の仕事に出された。「中の仕事をやらせてほしい」と相談したところ、会社からは「もし身体が悪いのなら辞めてほしい」と言われたという。

 Aさんは、足に痛みが走って動けなくなり、救急車を呼んだ。足の皮が破けて中がドロドロになり、足の中に潰瘍ができていた。歳をとって、長時間立ちっぱなしの仕事をしていたことが災いしたのではないかと、Aさんは感じている。

「それでも生活していかなければいけないと思い、会社に日数を減らしてほしいと相談したら、退職届を渡されて、早く辞めるようにと説得されました」(Aさん)

 Aさんには今、収入がない。会社の給料の貯金も切り崩して、とっくになくなった。役所に相談してみたが、「年齢が65歳に達していない」からと支援を断られた。「引きこもり」というカテゴリーで相談をしても、年齢での制限や障害がなければ、制度に乗せてもらうことができず、サポートを受けられない。

 最近、民生委員から確認の電話があり、民生委員から紹介された地域包括支援センターのケアマネジャーが訪ねてきた。ただ、地域包括支援センターは高齢者の介護などのサポートをするのが本来の仕事であり、引きこもり支援の担当ではない。