ロサンゼルスに住むフリーマン・ウッドさん(54)は、5歳の頃から探検家になりたいと思っていた。山を登ったり、砂漠を旅したり、未踏の地に分け入ったりすることを夢見ていた。しかし、探検家で食べていくのは簡単ではない。だからウッドさんは経済学を勉強し、学校を卒業するとシカゴ・オプション取引所(CBOE)で仕事に就いた。それを機に30年にわたって投資銀行や企業財務の分野でキャリアを積むことになった。その過程で経営学修士(MBA)を取得し、米連邦準備制度理事会(FRB)やウォール街、フォード・モーター、投資コンサルティング会社で働いた。仕事で成功していたにもかかわらず、ウッドさんは不幸だった。朝、仕事に行くのが嫌で、仕事が終わって帰宅したときにはぐったりして機嫌が悪かった。「一つ一つステップが前向きなもので、キャリアを正しい方向に向かわせているかに見えていたが、結局、確実に間違った場所に行き着いた」とウッドさんは話す。「広い社会に貢献する形で自分が情熱を持てるものを追いかけていなかった」