厚生労働省の資料によると、1987年以降の被扶養者の年収基準は、「実収入伸率」「可処分所得伸率」「決まって支給する給与伸率」などから導きだしたものとされている(厚生労働省保険局「短時間労働者への社会保険適用拡大について」より)。

 しかし、この理由づけはどうも腑におちない。

 総務省の家計調査年報によると、1994年以降、勤労者世帯の実収入の前年比はマイナスになる年が増えている。被扶養者の年収基準を収入の伸びに連動させるなら、それに応じて引き下げられるはずだが、今でも130万円に据え置かれたままだ。

 バブル景気の盛り上がりとともに年収基準が拡大していた事実を見ると、日本経済が成長を目指す中で、企業が社会保険料の事業主負担をせずに安く使える労働力を確保する手段として、国がそれを後押しする形でパート主婦の被扶養者基準は拡大してきたのではないだろうか。

 年収の伸びに合わせて被扶養者の年収基準を毎年のように上げたり下げたりすれば現場も混乱するし、頻繁な見直しは現実的ではないのかもしれない。しかし、明確な根拠をもたないまま、これまで被扶養者の年収基準はずるずると放置されていたのは事実だろう。

世帯単位から個人単位の制度に
脱皮できる大胆な見直しを

 被扶養者という制度があることで、社会保険料の事業主負担をせずに雇用できる労働者がいることは、パート主婦を多く抱える飲食産業や流通産業などにとっては都合がいいだろう。しかし、そのパート主婦は夫が加入する健康保険が面倒を見ることになるので、保険料を負担しないで医療費を使う被扶養者の存在は健康保険財政のお荷物になっているという裏の面もある。