大惨事が起きたときの結束もこれでは台無しだ。15日にパリのノートルダム大聖堂で発生した大火災から程なく、再建資金の寄付に殺到した超富裕層の家庭や大企業に対する不満が噴出した。そうした異例の寄付金は約8億5000万ユーロ(約1070億円)に達している。24時間もたたないうちに、フランス最富裕層の2人が計3億ユーロ、石油大手トタルが1億ユーロの寄付を申し出た。ロレアルやアップル、ディズニーのほか、さまざまな企業や財団、裕福な個人から大量の資金が流れ込んでいる。ただ、フランスの一部の政治家らはこれを歓迎していない。「黄色いベスト運動」のリーダーの1人、イングリッド・ルババスール氏は「正気とは思えない大金をノートルダムのために一夜で動員できるというのに、社会的困窮を前にしたときの大企業の怠慢」への不満を訴えた。
【社説】ノートルダムへの愛と金持ちへの憎悪
有料会員限定
あなたにおすすめ