トヨタは記者会見で「トヨタのHEV技術の供与を希望する企業とは実施条件などを協議したうえで契約を結ぶ」としている。また、個別の車種適合については「必要に応じ、トヨタ・グループのサプライヤーも交えて有償での支援契約を結ぶことになるだろう」という。つまり、単に特許をオープンにするだけでなく、“要望があればトヨタのHEVシステムを使った市販車の開発をトヨタとトヨタ・グループが有償で支援する”展開だ。今回公開される特許を使用すれば、HEVだけでなくPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)やBEV(バッテリー充電式電気自動車)も開発できる。

技術を“囲い込む”のではなく、
広く他社に提供する道を選んだ

 4年前、トヨタはFCEVの普及を狙って特許約5680件を開放した。しかし、このときは市販車への展開ノウハウについては提携先にとどめたため、トヨタの特許を実際に使用する開発例はほとんどなかった。今回は特許の開放と有償での開発協力と部品・ユニットを供給し、トヨタ方式の拡大に期待している。

 自動車の電動化については現在、中国のように国家がBEV普及を推進する例と、欧州のように環境規制をクリアするためにPHEVおよびマイクロ/マイルドHEVの導入が増えつつある地域、そして日本のようにストロングHEVが一定のシェアを握る国など、いくつかのグループに分類できる。共通しているのは、以前の流行だったFCEVがトーンダウンしたことだ。FCEVをカタログモデルとして販売しているのはトヨタとホンダだけで、トヨタにしてみればストロングハイブリッドがFCEVと同じ道をたどることだけは絶対に避けたいところ。技術を“囲い込む”のではなく、広く他社に提供する道を選んだトヨタ。その悲願は、はたして成就するだろうか。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)