秋山 個人のデータについて語るとき、いろいろなものが接し合っているところで、どこまでが個人の権利として主張できるかは難しいですね。

桑津 ある人が歩いたデータ、通勤で交通機関を利用したデータは、その人のデータかもしれませんが、社会のインフラを使った時点で、社会のデータともいえます。一方的に個人の権利としてしまうのはおかしいでしょう。

 そうした、極端な個人主義や、データの悪用への懸念などから、本当に進めなければならないIoT化が遅れるのは問題です。いまや分析はもう出尽くしていて、本気でIoT化に取り組むかどうかを決定するばかりになっています。

 みなさんも報道で、コンビニで24時間の営業が人手不足で難しくなったり、宅配や介護の人ぐりの厳しさなど、日々肌で人手不足を感じているのではないかと思います。私はいまデジタル化を進めるためには、国家非常事態宣言をする必要さえあると思っています。権益を超えて大きな改革を進めなければ、なにも変わりません。民主主義だけれど、「検討する」とか「考える」とか「時期尚早」と言っていてはいけないのです。

秋山 改革を進めるのに、2020年の東京オリンピックは1つの契機になりそうですね。

桑津 もうひとつ希望があり、大阪万博がトリガーになりうると考えています。人手不足による業務の効率化や、観光需要のための電子マネーの普及などを一気に進められるチャンスです。大阪は別に第二の東京になる必要はなく、観光都市として、立っていけると思います。人手不足で厳しいからこそ、それをばねにして大きな変革をしてほしい。お金をかけて効果が表れる改革は、今やデジタライゼーション以外にはないのですから。

(取材・構成/ライター 奥田由意)