ビジネスの世界では、それぞれの立場で「正しい」と思う意見が何度もぶつかり合う。そんなときは、何よりもまず「自分の『好き』という直感を信じて選択をすべき」とハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は語る。竹下氏がこのように考えるきっかけになった、スタンフォード大学の授業とは。※本稿は竹下隆一郎『内向的な人のための スタンフォード流 ピンポイント人脈術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

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「正しいこと」と「正しいこと」はぶつかり合う

 スタンフォードの授業では、多くのことを学びましたが、もっとも大事な教訓は「世の中には、多くの『正しい答え』があるが、最後は自分で選ばないといけない」というものです。それは、ビジネススクールのスーザン・エシー教授の授業で学びました。彼女はマイクロソフトなどの民間企業で働いたり、仮想通貨業界に携わったりしており、学問とビジネスの両方を知っている人でした。

 講義のテーマは「プラットフォームビジネス」。具体的には、オンライン書店として始まったアマゾン、ネットで衣料品が買えるゾゾタウン、ネット通販の楽天などの企業のビジネスを指します。

 プラットフォームビジネスの特徴は、「力を持ったお客さんが複数いる」ということです。たとえば楽天は、商品を買う一般消費者が「お客さん」です。しかし、出店料をもらって稼ぐという意味では、ネット上に商品を並べている小売店も「お客さん」です。

 どちらのお客さんの利益も大事にしないといけないのがプラットフォームビジネスの難しい点です。たとえば、サイトのトップページにできるだけ多くの店の商品を並べたとします。もちろん、出店をした小売店側は喜びますが、その分ページの情報量が増え、一般消費者はごちゃごちゃしたページで物を買うことを嫌がるかもしれません。

「ネットビジネスの登場によって、人と人、企業と企業がマッチングされるモデルが増えてきた。その分、それぞれの『正しいこと』と『正しいこと』が衝突しあう場面が今後多くなってくるのではないか」とエシー教授は指摘していました。