京都大学の超人気公開講座を書籍化した話題の新刊書『京大変人講座』。同書からの一部抜粋で、今回も「サービス経営学」を専門とする京大経営管理大学院・山内裕准教授の講義の続きをお届けする。
前回、前々回と、無愛想な接客の老舗鮨屋をはじめ、難解な料理名のイタリアンレストランや、ややこしいドリンクサイズのカフェチェーンなど、日本的おもてなしとは真逆の、客をたじろがせるようなサービスについて分析してきた。今回は「ホスピタリティ」「おもてなし」の意味を問い、サービスの本質とは何かをさらに突きつめていく。
高級であればあるほど
サービスが減っていくパラドクス
さて、カジュアルなレストランやファストフード店であっても、お客を拒否するサービスを展開していることはすでに述べたとおりですが、一方で、サービスが高級になればなるほど、闘いの局面が増していくという現実もあります。
なぜなら、高級になればなるほど、いわゆる「サービス」と呼ばれるものが提供されなくなっていくからです。
減っていくのは「笑顔」であったり、「情報」であったり、「迅速さ」であったりします。
意外な感じがしますね?