京大変人講座 単行本
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「京大変人講座」とは、京都大学で実際に行われている一般公開講座の名称。この超人気講座が書名もそのままに『京大変人講座』という書籍となって刊行された。同書からの一部抜粋により、今回も「サービス経営学」を専門とする京大経営管理大学院・山内裕准教授の講義の続きをお届けする。
前回は、老舗鮨屋で目の当たりにする不親切な接客について分析した。実は鮨屋の仏頂面ばかりでなく、カジュアルなレストランやチェーン店においても、日本型おもてなしとはまったく異なる、客をたじろがせるようなサービスは行われている。しかも、客はかえってそれに満足しているという不可解な現実が存在する。「サービスの本質」に迫る講義はさらに続く――。

おやじが頑固で無愛想だから
客はかえって行きたくなる

 なぜ鮨屋のおやじは笑わないのでしょう。客を試すような質問をし、怖い顔をして鮨をにぎっているのでしょう。

 前回ご紹介した「すきやばし次郎」の店主・小野二郎さんが、ニコニコとお客さんを出迎えて、「私はいつもお客さんのために仕事をしたいんですよ」とほほ笑み、さっとメニューを差し出し、「今日はいいの入ってるんですよ。白身なんか最高です。おつまみにちょっと切りましょうか」なんて親切にすすめてくれるような、いわば当たり前のサービスを提供してくれる人だったとしたら、どうでしょう?

 誰もが「すきやばし次郎」に大金をはたいてでも行きたいと思うでしょうか?

 いいえ。私たちは、鮨屋のおやじが頑固で無愛想だから、行きたくなるのです。