6月4日付けのアエラが面白い特集をしていた。「抜擢人事」の天国と地獄というタイトルで、抜擢人事された人の苦労を特集しているのだ。

 特集のリードには『管理職に就きたくないという人が増えている。自分だけが早くその職に就き、愚痴をこぼし合う仲間もいない中で成果を期待される「抜擢」なら、嫌がる人はさらに増えるだろう。与えられたチャンスを生かすには、どうすればいいのか』とある。

 世の中のサラリーマンは、とにかく他人を出し抜き、出世を競っているものと思っている人には驚きの特集だ。出世したくないのだ。というよりむしろ出世してしまった結果に大きな後悔をしているという現実が世の中にあるのだ。

 特集には事例が挙げられており、若くして管理職になったものの、年上の部下を使うことができず鬱病状態になっていくサラリーマンが登場し、笑えない。

傾聴という態度

 しかし、会社は、年功序列より実績主義、成果主義にカーブを切ってしまった。それに組織の活性化には若手を登用するに限ると思っているトップも多く、抜擢人事はこれからも増えるだろう。抜擢されて不幸にならないためにはどうすればいいのか。

 キリストの弟子ヤコブが信者に書いた手紙の中にこんな言葉があった。

「人は皆、聞くに早く、語るに遅く、怒るに遅くなければなりません」。

 ヤコブはこの言葉に続けて「怒りにかられる人は、神のみ心を行う者ではありません」という。

 人という者は、とかく結果や成果を早く求め過ぎる。お母さんが、子どもに「あれやった?あれは?早くして」と、口癖のようにいうようなものだ。そうすると子どもは反発して「うるせぇ、ババァ」ということになる。