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レビュー

『居酒屋へ行こう。』書影
『居酒屋へ行こう。』 太田和彦著 ポプラ社刊 886円(税込)

 今はインターネットで、いくらでも評判の良い居酒屋をリサーチできる時代だ。その掲載写真を見れば、おおよその雰囲気もつかめる。何かの記念日や宴会の場合は特に、インターネットの情報は役に立つ。一方で、あまり下調べをせず、その日の夜をどの居酒屋で過ごそうかとプラプラ歩くことも多々あるだろう。そんなとき、ちょっと入りにくそうなお店にこそ入ってみようと、冒険心を抱いたことはないだろうか。

 本書『居酒屋へ行こう。』で扱われている居酒屋は、そんなときに吸い込まれそうになる、味わい深い店ばかりだ。ひとたび中に入ると、店主、店内の造り、お酒、料理、お客さんなど、そのお店のすべてによって構成される、独特の味わい深い空間が待っている。本書は単なる居酒屋紹介の本ではない。数々の居酒屋をめぐり、味わい尽くしてきた著者ならではの切り口で、「居酒屋を巡る旅」をデザインし、読者のガイドをしてくれている。各地域の風土や歴史が色濃く反映された空間が存在することを、読者は実感するにちがいない。