【子育てで最も危険】「なんで本を読まないの?」が一生消えない苦手をつくる
「本を読むのが速い人の秘密」がわかった!
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。

【子育てで最も危険】「なんで本を読まないの?」が一生消えない苦手をつくるPhoto: Adobe Stock

子育ての絶対NG行動とは?

 本日は「子育てと読書」についてお伝えします。

 子育てで絶対にやってはいけないことがあるとしたら、それは「親の都合や理想で、子どもの感情を決めつけたり、方向づけたりすること」だと私は思っています。

 特に「これをやったほうがいい」「これは将来のためになる」とわかっていることほど、親はつい強制したくなる。でも、その強制こそが、子どもにとって一生ものの苦手意識や嫌悪感を生んでしまう最大の原因になります。

親が本を読めば、子供も本を読むのか?

 たとえば読書。私は本が大好きですし、読書が人生を豊かにしてくれるものだという確信もあります。正直に言えば、子どもにも本を読んでほしいと思っています。ただ、それと「読ませる」「やらせる」はまったく別の話です。私は子どもに対して「本を読みなさい」と命令したことは一度もありませんし、無理やり読書を習慣にさせようとも思っていません。親としてできるのは、判断を強制することではなく、判断がプラスに傾くような環境やきっかけを用意することだけだと考えているからです。

 よく「親が本を読んでいれば、子どもも自然と本好きになる」と言われますが、これは半分正解で半分誤解です。確かに、親が本を読んでいる家庭の子どもは、本を読む機会が増えます。アンケート調査などを見ると、親が読書をしている場合、子どもが月に一度でも本を読む割合は9割を超えるそうです。

親ができるのは「きっかけ作り」

 一方で、親が本を読まない家庭でも、子どもが本を読むことはあります。冷静に考えれば、この差は「好きになるかどうか」を決定づけるほどのものではありません。要するに、親が本を読むことで増えるのは「好きになる確率」ではなく、「本に触れるきっかけの数」だけといえます。

 好きになるかどうかは、ほぼ個性です。これは我が家を見てもはっきりしています。家には本が山ほどあり、私自身は毎日のように本を読んでいます。しかし、子どもは驚くほど本を読みません。図書室で本を借りてきたこともありますし、絵本を一緒に読んだこともありますし、何度も「きっかけ」はありました。でも、好きにはならなかった。それだけの話です。逆に言えば、どれだけ環境を整えても、親が読書家でも、子どもが本を好きになる保証なんてどこにもないということです。

絶対NG! 「なんで本を読まないの!」と圧をかける

 ここを勘違いしたまま、「なんで本を読まないの」「こんなに本が大事なのに」と圧をかけてしまうと、何が起きるか。子どもは本そのものではなく、「本を巡る親の顔色」に反応するようになります。そしてこれが、子育てで絶対にやってはいけないポイントにつながってきます。子どもの嫌いは、ほとんどの場合、子ども自身の体験からではなく、親の反応を通して作られるからです。

 人はまず体が反応し、その後で脳が理由をつけます。親が虫を見て嫌な顔をすれば、子どもは虫そのものよりも「嫌悪の反応」を先に覚えます。本を読みながら「退屈だ」「大変だ」とため息をつけば、子どもは内容ではなく「本=しんどいもの」という空気を体で覚えてしまう。仕事について「つらい」「我慢だ」と口にすれば、仕事という概念そのものが、子どもの中で苦痛として刻まれていきます。

 だから私は、本に限らず、子どもの前で「嫌い」や「苦痛」を安易に表現することだけは、できる限り避けています。完璧には無理ですが、意識はしています。なぜなら、子どもは生まれたときから嫌いなものをたくさん持っているわけではないからです。多くの「苦手」や「嫌い」は、あとから周囲の大人によって与えられたものです。親の一言、親の表情、親の態度が、そのまま子どもの感情の土台になります。

さりげなく「きっかけ」を作る方法

 一方で、きっかけを増やすこと自体は、親にしかできない大事な役割です。子どもに「なんでパパは何でも知ってるの?」と聞かれたら、「たくさん本を読んで勉強してきたからだよ」と答える。なぜ家で仕事をしているのかと聞かれたら、「本で学んで、自分で働き方を作ったからだよ」と伝える。これは嘘ではありませんし、無理な誘導でもありません。ただ、読書という行為が人生とどうつながっているかを、事実ベースで示しているだけです。それによって「じゃあ自分もやってみようかな」という小さな芽が生まれたら、それで十分だと思っています。

 そして、もしその芽が育たなくても、それは失敗ではありません。本を読まなくても生きていける時代ですし、読書が合わない人生もあります。大切なのは、「親が正しいと思うものを、子どもに押し付けないこと」と「子どもの世界に、親の嫌悪で色を塗らないこと」。この二つを守るだけで、子育ては驚くほどシンプルになります。

 子どもにとって本当に取り返しがつかないのは、何かをしなかったことではなく、「本当は嫌いじゃなかったかもしれないもの」を、親の態度ひとつで嫌いにさせられてしまうことです。子育てで絶対にやってはいけないことがあるとすれば、それはここだと、私は強く思っています。

(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・取材加筆したものです)