「合わせ技一本のリーマン級」で消費税率引き上げを止めてはどうか世界的な株安の状況を示す電光ボード(5月14日午前) Photo:JIJI

景気判断6年ぶりの「悪化」

 内閣府が13日に発表した、景気動向指数による国内景気の基調判断が6年2カ月ぶりに「悪化」となった。専門家の見解は「中国経済の悪化が大きく影響している」との見方でほぼ一致する。

 米国のドナルド・トランプ大統領が中国からの輸入品に対する関税引き上げを通告し、中国政府がこれに呼応して13日に米国製品に対する関税引き上げ措置を発表。その結果、13日の米国の株価は大きく下落した。国際通貨基金(IMF)等の分析によると、米中の関税の競合的引き上げは、国内総生産(GDP)で見て中国側への影響がより大きいという。

 ただ、今回のわが国の景気判断は、新しい関税措置の影響が出る前の段階での「悪化」であり、今後わが国の景気が悪影響を受けてさらに落ち込む可能性が小さくない。また、米国には、中国製品に対する関税引き上げの対象品目を拡げる追加措置の余地がある。

 端的にいって、現在、日本は消費税率を上げられる環境ではない。10月に予定されている消費税率の引き上げは早急に凍結ないしは再延期すべきだ。そして、再延期を決めるなら、時期はできるだけ早いほうがいい。なぜなら、税率の変更や各種の軽減措置に対する対応への影響は物事が早く決まる方が小さいし、企業の設備投資や事業計画などが景気悪化を余計に織り込まずに済むからだ。7月冒頭に発表される日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」(短観)まで待つ必要はない。