国内では既にNTTドコモ、ソフトバンクのグループ会社など複数社が同様のシェアリングサービスを展開している。後発のパナは形勢不利だが、狙いはどこにあるのか。

 先行陣営に食い込めれば万々歳。ハードも自社展開する強みを生かし、「乗車体験」をきっかけに販売へつなげたり、他のシェアリングサービス業者にIoT電動アシスト自転車を販売したりすることが視野にあるようだ。

21年度から販売もスタート

 国内の自転車の生産台数は下降傾向にあるが、登坂や長距離でも楽に走れる電動アシスト自転車は堅調に推移している。人口高齢化で高齢者の自動車運転免許の返納が進めば、さらに利用が拡大する可能性がある。

 ただでさえ便利な電動アシスト自転車にIoTが加われば、メンテナンスの利便性が向上したり、個人が走行データを見返したりすることが可能になる。将来的には、自動車との相互通信によって、アラートなどで衝突事故を未然に防ぐ仕組みの登場もあり得る。

 パナはシェアリングサービスと並行して21年度からIoT電動アシスト自転車を順次市場に投入する予定。野中社長は、「現状10%の電動アシスト自転車の普及率を我々のIoT電動アシスト自転車が牽引し、30年には25%に高めたい」と意気込む。

 ただ、パナソニックサイクルテックの売上高は19年3月期314億円と、売上高約8兆円を誇る巨艦パナにあっては、存在感が薄いのも事実だ。

 一方、所属するパナ社内カンパニー・ライフソリューションズ社の北野亮社長は先日、街づくり事業でトヨタ自動車との合弁会社設立を発表したばかり。暮らしに関わるすべてのモノ、サービスが情報でつながる近未来のコネクティッド・シティで、パナソニックサイクルテックが「小粒でもピリリと辛く」一役買う場面が出てきそうだ。

(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)