スルガ銀といえば、静岡県沼津市に本店を構えながら、都内を中心とした不動産投資向けローンに軸足を置いてきた地方銀行だ。その収益性が高いビジネスモデルには金融界も一目置いていたが、女性専用シェアハウスの「かぼちゃの馬車」を巡り不正疑惑が浮上。ふたを開けてみれば、組織的に不適切融資やパワハラが横行するという目を覆いたくなるような惨状だった。5月15日公表の調査報告書では、契約書の改ざんなどが疑われる不正融資の案件は、金額にして1兆円超と不動産投資向けローン全体の6割以上を占めることが判明している。

 同じく、15日に発表された2019年3月期決算。スルガ銀は純利益で970億円の赤字に陥った。不正まみれの不動産投資向けローンが焦げ付くことを見越して貸倒引当金を積み増し、それが巨額な損失となったためだ。また、スルガ銀の足元における預金残高は3兆1656億円となり、1年間で9240億円もの預金が流出。スルガ銀に対する顧客からの信頼の、低下のほどがうかがえる。

 こうした事情があったからこそ、スルガ銀単独での信頼回復は難しいとし、不正発覚直後から提携話が飛び交った。結果としては、新生銀と、すでに5%弱の株式を取得していたノジマが第一陣として手を挙げることとなった。

スルガ救済により名誉挽回を図る

 ただ、今回新生銀が選ばれたことについて、新生銀の内部の人間も「うちは消去法だ」と嘆いている。もとをたどれば、「スポンサー候補として金融庁が期待していた」(金融庁関係者)はずのりそなが早々に離脱。どうしても「銀行」の名を冠するところに支援を託したい金融庁の思惑が絡み、新生銀に白羽の矢が立った形だからだ。

 そこに、工藤英之社長が「提携に前向きだった」(新生銀関係者)ことが後押しする。背景にあるのは、大手銀行の中で唯一、公的資金が国から注入されたままの銀行として、名誉挽回したいという思いだ。

 そもそも新生銀のルーツは、かつて長期の運転資金を企業に供給し、産業界を支え続けた旧日本長期信用銀行。この長銀が平成バブル崩壊後の不良債権問題で経営破綻し、再生したのが今の新生銀となる。

 公的資金の注入で一時国有化されたこの銀行は、リーマンショック直後に2期連続の赤字を出したこともあり、いまだに公的資金を返済できていないという“スネの傷”を抱えている。故に「公的資金を返せないなら、せめて金融当局が困っている課題に積極的に答えるしかない」(別の新生銀関係者)と恩売りを図ったというわけだ。