なるほど、投資家は警戒している。4月のにわか雨が3月の陽気な楽観論を洗い流そうとしているからだ。15日発表された中国の経済指標は惨たんたる内容だった。小売売上高の前年同月比伸び率は7.2%と3月の8.7%から鈍化し、2003年以来の低水準を記録した。鉱工業生産の伸びも8.5%から5.4%に落ち込んだ。こうした情報全てが破滅的な内容だろうか。それがそうでもない。2つの特別要因が前月のデータを膨らませていたことを勘案する必要がある。まず4月1日からの増値税(付加価値税)の引き下げだ。製造業は製品を輸出した場合、仕入れ分に掛かっていた増値税分の還付を受ける。(対米輸出の減少が予想される)米中貿易摩擦の新たな関税引き上げニュースが入る前から、製造業者はより高額の増値税還付を受けるため輸出の出荷を急いだとみられる。その上、昨年は春節(旧正月)が遅く、18年3月の指標は非常に弱かった。前年同期との比較で、今年3月の数字は誤解を招くほど好調だった。