日立製作所への期待が高まっている。ソニーやパナソニック、シャープなどが壊滅的な業績に陥る中、堅調な成績を残しているからだ。しかし、世界の競合他社との差はいまだ歴然としている。
「8期連続赤字のテレビを続ける必要があるのか」「なぜ垂直統合モデルは限界を迎えてしまったのか」
電機メーカーの2011年度決算発表は、厳しい質問が飛び交った。それもそのはず、民生電機といわれるソニーやパナソニック、シャープが3社合わせて1兆6000億円もの赤字を出すなど大荒れだったからだ。
ところが同じ電機でも、今年5月に行われた重電メーカーである日立製作所の会見は、他とは様子が違った。大赤字の3社を尻目に、日立は3471億円の最終黒字。しかも、過去最高益を2年連続で更新中なのだ。製造業で過去最悪となる、7873億円もの赤字を出した08年度からは想像できない回復ぶりだ。
「2桁の営業利益率を達成できるのはいつごろか」
会見で12年度の営業利益率の見通しを5.3%と発表した中西宏明社長には、かねて将来達成したいと公言している10%超という数字について質問が飛んだ。
「現段階で10%というコミットメントをするのは、相当なジャンプが必要」と、中西社長は距離を置いたが、この質問を「気が早い」と聞き流すことはできない。
確かに日立をはじめ、東芝や三菱電機などの重電メーカーは、軒並み堅調な業績だった。しかし、それはあくまでも国内の話。世界トップクラスの米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスは、さらにレベルの高い競争を繰り広げているのだ。