2011年夏、日立製作所との経営統合が取り沙汰された三菱重工業では、そういう大転換シナリオが説得力を持ってしまうほどに“閉塞感”に包まれていた。過去数年間、副社長時代から社内改革に取り組んできた大宮英明社長に次期中期経営計画(12事計)の目玉になるという三菱重工業版の「EVA」や、その問題意識などについて聞いた。

おおみや・ひであき/1946年、長野県生まれ。69年、東京大学工学部卒業後、三菱重工業に入社。名古屋航空機製作所に配属され、主に防衛畑を歩む。名古屋航空宇宙システム製作所副所長、冷熱事業本部副本部長などを歴任。常務、副社長(ものづくり革新推進担当)を経て、2008年に社長に就任。自身の性格は、「取りまとめ役に向く」と分析する。
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──ようやく、航空自衛隊の次期主力戦闘機(F-X)は、米ロッキード・マーティン社が提案した戦闘機「F-35Aライトニング2」に正式決定した。

 詳細な中身が決まるのは、まだまだこれからになるので、現時点ではコメントのしようがないところもある。だが、機体の選定が正式に決まったということは、非常にありがたいと思っている。

──戦闘機の機体の製造は三菱重工業、エンジンはIHI、アビオクニス(電子機器)は三菱電機と、それぞれ実績ある3社で役割分担をすることになった。詳細はこれから詰めるとはいえ、過去の経験から、戦闘機の製造はどのように進むのか教えてほしい。

 これまでのケースで説明すると、以下のようになる。

 どこまで技術が開示され、国内メーカーにライセンス生産が認められるのかという問題を別にすると、防衛省がいったんエンジンや電子機器などの完成したユニットを買い上げ、全体の取りまとめ役の三菱重工業に“官給品”として支給される。われわれとしては、組み立てや全体のチェックも含めてサポートが可能な体制で臨む。

 技術開示の範囲は、現在、「40%ぐらい開示されるのでは」といわれている。だが、一定のブラックボックス(技術開示されない秘密の部分)はあったとしても、日本に「F-35」という最新鋭の戦闘機が導入されることには大きな意義がある。先端技術がもたらされることは好ましく、機体やその周辺まで含めて、日本の技術水準の維持・向上につながるからだ。