原発プロジェクトを一括して担うには、炉の設計から部材や燃料の調達に建設と、作業が多岐にわたり、原子炉メーカーだけでは手に負えない(写真は中国広東省の台山原発)
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「次に頭を使うのは、海外サプライヤーとのアライアンス(提携)をいかに組むかだ」。ある原子炉メーカー幹部は、原子力発電業界の現状を見据えて、そう語る。

 現在、原子炉メーカーは業界再編を経て、3陣営に分かれている。ウェスチングハウスを傘下に収めた東芝陣営、資本関係にある日立製作所‐ゼネラル・エレクトリック陣営。そして、中型炉の開発・販売で合弁会社を設立した三菱重工業‐アレバ陣営。これにロシアと韓国勢を加えたのが、主なグローバルプレーヤーだ。

 前出の幹部は「原子炉メーカーの再編はほぼ完成形にある」と語る。そこで注目なのが「数年後、この勢力図がどう変わるか」であり、その鍵を握るのが、海外サプライヤーとの提携というわけだ。

 背景には、海外市場で原発プロジェクトの丸ごと受注を目指す、原子炉メーカーの思惑がある。特に日本勢は、圧力容器やタービン、蒸気発生器など、原発に必要な一部の部材での納入実績はあっても、プロジェクトを一括でマネジメントした経験はゼロに近い。

 また、国内でのプロジェクトでは各原子炉メーカーとも、どのサプライヤーと組むか「枠組みができている」(原発機器メーカー幹部)が、海外では「まだ色分けがされていない」(同)。

 機器に燃料調達も加えたサプライチェーンと、建設作業を担う現地のゼネコンも含めた、広義のサプライヤーと連携し、プロジェクトを一括受注できる体制を整えることが重要なのだ。

 一方で、世界各国の政府の立場からすると、自国のサプライヤーが世界の原発市場で、どれだけ存在感を持っているかが重要な関心事だ。

 原発に自国企業の製品を納入することを、業界では「旗を立てる」(経済産業省幹部)と言うが、世界の原発でどれだけ多く自国の旗が立っているかは、原子力政策、ひいては核不拡散といったデリケートな外交テーマでの存在感に、そのまま跳ね返ってくるからだ。

 そのため、原発関連メーカーの周辺動向には、各国政府も目を光らせている。日本にも圧倒的な世界シェアを誇るサプライヤーが存在する。例えば、帝国電機製作所は冷却ポンプで4割、住友金属工業は蒸気発生器の部材で3割、日本製鋼所に至っては、圧力容器の部材で8割もの世界シェアを、それぞれ占めているのだ。

 優れた技術を有するこれらのサプライヤーたちの中には、海外企業に買収されかけたこともあり、日本政府がその間に割って入ったという過去もある。

 国家の思惑も入り乱れながら、数年後の勢力図で優位に立つための競争はすでに始まっている。原発サプライヤーとのアライアンスに先鞭をつけるのはどこか、注目が集まる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

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