「ノルマ」はやっぱりあったのか!
大手金融機関が投資信託や保険などの個人向け営業に関して、支店や個々の社員に販売目標を割り振る、いわゆる「ノルマ」を4月から廃止したと報じられている。
例えば、三井住友銀行は支店単位の販売目標の設定をやめ、支店長が個々の行員に対して目標を割り振る行為を禁止するという。また、三菱UFJ銀行はすでに行員の評価を顧客の資産残高を中心とするものに変えているという。
大手証券会社も、大和証券は2017年4月にノルマを廃止し、野村證券も営業担当者の成果について、顧客の預かり資産の増減や、新規資金の獲得額などの指標で評価するようになっている。野村にあっては、販売手数料収入が見込める商品で「ノルマ営業」をしていたころに比べると、個人向けの営業部門の収益力が落ちたという(「日本経済新聞」5月21日)。
これらの報道は事実なのだろう。ノルマに基づく無理な販売がなくなるなら、顧客にとっても、金融機関の個人営業担当者にとっても望ましいことのように思われる。しかし、少々わざとらしいかもしれないが、ひとつ改めて驚いておくことにしよう。
「最近やめたということは、やっぱりノルマはあったのだ!」
読者は、これまでにこれらの金融機関から、例えば投資信託の乗り換え勧誘の営業などを受けたことはなかったか。それが、主として社内のノルマに基づく、会社と社員の都合によるものだったとすると、どのような気持ちだろうか。
「ノルマがなくなったのなら、安心してお付き合いができる」と喜ぶのは、いささか人が良すぎるというものだろう。