「働き方改革」が喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

「殺到するクレーム」を止めた方法とは?

 職場の「働き方」を客観的に分析すると、多くのチームにおいて「突発業務」に振り回されているかがわかるはずです。「突発業務」とは、クライアントからのクレームや、多部署からの急ぎの問い合わせなど、こちらの仕事を止めて対応しなくてはならなくなるようなものを指します。誰もがこの「突発業務」に苦しめられたご経験をお持ちではないでしょうか?

 もちろん、仕事をするうえで「突発業務」は避けえないことではありますが、それが頻発するのは大きな問題です。予定していたスケジュールが大幅に狂って、他の仕事にも悪影響を及ぼしますし、「突発業務」に振り回されるメンバーは疲弊してしまうからです。

 しかし、「突発業務」には、必ず発生要因がありますから、それを解決すれば絶対に減らすことができます。ところが、多くのチームでは、次から次に起きる「突発業務」に振り回されて、じっくり腰をすえて「なぜ、突発業務が発生するか?」を分析する時間を確保できていません。その結果、「突発案件は仕方のないこと」「解決はムリ」などといった無力感にとらわれてしまっているのです。

 ある企業のコールセンターのサポート部門のマネジャーも、その無力感にとらわれているひとりでした。

 ユーザーからの問い合わせやクレームが、突如コールセンターに殺到するケースが多く、長時間労働を余儀なくされていたのですが、「コールセンター業務はお客様相手なのだから、解決不可能だ」と思い込んでいたのです。

 しかし、チームの会議で「働き方改革」のディスカッションを進めるなかで、「突発業務」に振り回されているのは、解決すべき問題だという共通認識にいたりました。そこで、問い合わせやクレームの具体的な内容をエクセルシートにまとめ、その対応についてひとつずつ検証していった結果、事前対応を充実させれば、半分以上のものはふせぐことができたのではないか、と気づきました。

 たとえば、新商品発売に合わせたイベント当日に、問い合わせやクレームが殺到したケースがありましたが、これは、事前の会場案内が不十分だったために、イベント会場が混乱したことが原因でした。

 あるいは、商品のリニューアルをした直後にも同じようなことがありましたが、これも、商品マニュアルの記述が不十分だったことに大きな要因があることが判明。このように、事前の情報提供に不備があることによって、コールセンターにしわ寄せがきていることが明らかになっていったのです。

 そこでマネジャーは、上層部に事情を説明。社内の関係部署に、コールセンターに寄せられる問い合わせやクレームの内容を伝え、事前対応について協議するように持ちかけました。

 上層部の後押しもあって、関係部署は前向きに検討を開始。そして、なんらかの情報発信をするときには、コールセンターにしわ寄せがいかないように、万全の準備を心がけることになりました。

 その結果、情報の受け手であるユーザーの満足度が向上するとともに、コールセンターへの問い合わせやクレームが突然殺到するという事態は減っていきました。そして、コールセンターの残業も劇的に減少。メンバーも安心して業務に励むことができるようになったのです。