「大きな仕事を取ることや収入が上がることは、もちろんモチベーションの源泉になります。ただ、自分はそれを直感的に理解して原動力に変えるのが苦手なタイプ。一方、同期が自分より成果を収めたり、会社内で優遇されたりすると、嫉妬して『あいつを越えよう』と思います。その方が直感的なモチベーションになりやすいですね」(40代男性・営業)

嫉妬心は「諸刃の剣」?
「負」の方向は要注意

 ここまでは嫉妬心のプラス面ばかりを挙げてきたが、他方で嫉妬はネガティブな感情になる場合も多い。となると、当然ながら仕事に悪影響を与える可能性もある。

 ビジネスパーソンに話を聞くと、その「実例」としていくつかのエピソードが聞かれた。

「嫉妬心が怖いのは、相手への恨みや“非協力”を生んでしまうこと。仕事なので絶対ダメですが、実際に嫉妬からチームワークが乱れるケースは多々ありました。たとえば、同期の新人2人が入ったあるプロジェクトでは、お互いのライバル意識が強すぎて、2人で相談したり協力したりという姿勢が生まれなかったのです」(50代男性・IT)

「嫉妬心によって、社員がいやがらせを受けた例があります。Aという社員と、その一個下に優秀なBという社員がいました。Bがどんどん仕事を取るために、Aは自分の立場が危うくなったのでしょう。Bに無理難題を言い、精神的にパンクさせてしまいました」(40代女性・人事)

「評価の高かったプレゼン資料など、企業の持っている資産を会社全体で共有することが大切です。ITツールでそれが可能になりましたが、嫉妬心が社員同士のコミュニケーションを邪魔した結果、『あいつにはこの資料を渡したくない』といった感情で共有が進まないケースがあります」(40代男性・営業)

 嫉妬心のメリットが現れるのは、あくまで嫉妬を純粋な自己成長につなげようとした場合。一方、芽生えた嫉妬の感情により、他者を蹴落とそう、他を下げて自分が上に出ようという思考になると、非常に厄介といえるだろう。嫉妬は諸(もろ)刃の剣でもあるのだ。

 もしかすると、そういった嫉妬心のマイナス面が集まった顕著な例が「派閥争い」なのかもしれない。かつての大企業といえば、社内に派閥が存在し、社員という同じ仲間でありながら、お互いがお互いを蹴落とそうとすることがあった。

 嫉妬心がピュアな自己成長を生めばいいが、負の感情になると、結局相手を蹴落とそうと考え、仲間をつくって派閥を形成する。決して建設的ではない行動になってしまう。となると、嫉妬心を悪い方向へ導かないための企業の工夫も必要だろう。