「男の嫉妬」は50代でピークに達する男の50代、実は出世にまつわる嫉妬がもっとも強くなる時期だ

 これまで、多くの方にとって、できるだけ現実的で、実利的なキャリアデザインを心がけてきたつもりだ。あまり理想論に走らず、安全第一をモットーにしてきたので、少し退屈だと思った方もいたかもしれない。それでも、「勇気が出た」とか「目から鱗だった」といったご評価をさまざまいただくことができ、とても嬉しい。

 安全第一は今でも大切だと思っているが、それゆえにこれまで意図して避けてきたものがある。それは、自分の中にあるネガティブな感情に向き合うことだ。

 ネガティブな感情は誰にでもある。しかし、それに真正面から向かい合うということは、時として危険を伴うものだ。自分の嫌な面があからさまになり、落ち込むかもしれない。その程度の人間だったのかと自信を失うかもしれない。しかし、それでもなお、ネガティブな感情に向き合うことには意味があると思っている。

 一度自分の本心を隠さずに見つめた上で、それを克服できれば一皮も二皮も剥けるはずだ。真の強さを得ることができると思う。

 そのネガティブな感情とは、“嫉妬”だ。

 今回のタイトルは刺激的だと思う。40代の読者であれば、まだ経験していないことだ。しかし、今回は、敢えてこの話題に踏み込んでみたいと思う。

同期、後輩にまで追い抜かれて
心穏やかでない人はいない

 決算を終えて、新しい事業年度も始まって、ひと段落しているかと思う。もうすぐゴールデンウイークも始まる。多くの読者は風も温んできて心もウキウキ、晴れやかな気分なのではないだろうか。

 ところがこの時期、そうした心持ちの人ばかりではないだろう。自分では何ともしがたく、そうした気持ちがあるということを認めることが極めて不愉快な感情……、そう、嫉妬を感じて、悶々としている人もいるはずだ。

 昔は、嫉妬、悋気は女性の専売特許のように言われていた。嫉妬という漢字が女編であるのはその名残だろう。主に男女間のもつれに起因する感情だとされていた。しかし、もちろん嫉妬は男女関係なくある感情である。いや、むしろ男性の嫉妬のほうが怖い、始末に負えないということを今では多くの人が知っている。そうした男の嫉妬は必ずしも男女間のもつれとは限らず、むしろ昇進昇格、ポスト争いに起因することが多いようだ。

 40代であれば、キャリアにまつわる嫉妬を強く感じている人はまだ少ないかもしれない。しかし、50代にはキャリア嫉妬の嵐が吹き荒れる。そのことを今から知っておいたほうがいい。