ロシアの北極圏で計画されている3兆円超規模の液化天然ガス(LNG)プロジェクトに三菱商事と三井物産が出資参加する最終調整に入ったことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。出資比率と契約条件を詰めた上で、6月に大阪で開かれるG20サミット(20ヵ国・地域首脳会議)の前までに最終合意を目指す。
日本政府を含めた関係者たちは、この合意をサミットに合わせて予定される日ロ首脳会談で安倍政権がロシアへの“贈り物”とするシナリオを描いている。
出資案件となっているのは、ロシアの民間ガス大手ノバテクが北極圏にあるヤマル半島で計画する「アークティックLNG2(アーク2)」。2020年に着工し、22~23年に年間約2000万トンのLNGを生産する巨大プロジェクトで、総事業費は3兆~4兆円にも上るとされる。
これまでに、アーク2にはノバテクが6割、仏メジャーのトタールが1割、中国石油天然気集団(CNPC)の子会社が1割、中国海洋石油集団(CNOOC)が1割、それぞれ出資することが決まっていた。ノバテクは残りの1割について、三菱商事、三井物産、サウジアラムコに出資要請していた。
サウジアラムコはもともと3割の出資を希望しており、ノバテクと条件が折り合わずに出資を断念した。三菱商事と三井物産で1割出資する方向であり、出資総額は数千億円規模とみられる。