しかし、仮にそうだったとしても、その後に反動がやってくるはずです。具体的には、公共事業によるかさ上げもなく、直前に輸入を抑えた分エネルギーをたくさん輸入しなければならなくなるため、4~6月期のGDPは「ボロボロになるのでは」という見方も浮上しています。

 なにしろ前述のように、景気動向指数は「悪化」を示しているのだから、実態の景気は悪くなっているはず。そして次のGDP速報値の発表は、選挙が終わった後の8月9日。選挙が終わった後に、「実は経済が急速に悪化している」という公式発表があるかもしれないという疑念を生む、わかりやすいスケジュールなのです。

「リーマン級の危機到来」説の
論拠は、こんなところではないか

 では、さらにその先はどうなるでしょうか。さすがに8月に経済成長がマイナスになったからといって、10月の増税が延期されることは現実的にはあり得ません。日本中の小売業が増税対応のシステム改修を行っているのに、急に中止したら、どこでシステムエラーが起きるかわかったものではないからです。ただこうなってくると、「消費増税を断行するとリーマン級の危機がやってくる」という説は、真実味を帯びてきます。

 今年10月に消費税は実際に増税され、10~12月の消費はさらに大きく落ち込むでしょう。そのとき、もし米中の経済戦争が本格化しており、保護主義による貿易停滞が起きたら、米国と中国それぞれの大国への輸出で潤っている日本経済は、大きな影響を被るかもしれません。これらは場合によっては、それこそリーマンショック級の打撃でしょう。

 ここまで述べてきたような一連の見通しが、「消費増税を断行するとリーマン級の危機がやってくる」という説の論拠になっているのではないかと推察します。

 大きな不況が本当にやってくるかどうかは、わかりません。しかし、私の本業である経営コンサルティングの世界では、少なくとも今年の経営計画については、「世界的に大きな不況がやってくることを織り込んで計画を立てるべきだ」という経営指導が行われています。未来は予測できないほうに動くことが多いものですが、そうなっても経営者は、「サプライズではなく、想定したシナリオの範囲内だ」と言えるようにしておきたいからです。

 さて、実際にはどうなるのでしょうか――。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)