例えば数年前、「神の手」を持つといわれるほど世界的に有名なドクターの執務室で筆者は、名医らしからぬあきれた光景を目撃し、とんでもない体験談を聞かされた。

吸いたい一心で
「機内喫煙器」を手作り

 その日、筆者が取材に訪れると、ドクターは得意げに、「いかに自分が発明好きか」を語り始めた。

「例えばこれ、室内を煙たくしないでたばこが吸える、僕専用の喫煙装置なんだ。院内は禁煙だけどね、これを使えばバレずにたばこが吸えるんだ」

 ドクターはおもむろにたばこを取り出し、火をつけて吸い込むと、ラッパ状の受け口に口をつけて「フーっ」と煙を吐きだした。

 煙は、透明なダクトを通り、瞬時に屋外へと放出される。

「ね、すごいだろ。これなら受動喫煙もさせないから、秘書にも迷惑をかけないで済む」

 いたずらっ子のような笑顔に苦笑したが、

「でも先生、煙は外に逃がしても、口臭は残りますよね。大丈夫なんですか」

 心配になって尋ねると

「そう、それで大事件になりかけたことがあるんだよ」

“武勇伝”が始まった。

 ヘビースモーカーであるドクターは、長時間の禁煙を強いられる海外出張が憂鬱(ゆううつ)だった。そこで、紙コップとプラスチックストローでささっと作れる「簡易排煙装置」を考案。アメリカへ向かう航空機内のトイレで試用に及んだという。