ルノー労働組合などはルノーの価値を過小評価している可能性を懸念 Photo:Reuters

 【パリ】フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のルノーに対する経営統合の提案は、フランスで厳しい視線にさらされている。政府や労働組合、ルノーの一部幹部は、この計画がルノーの価値を過小評価している可能性や雇用を危機にさらしかねないことを懸念している。

 FCAはルノーと統合し、生産台数で世界第3位、時価総額が約400億ドル(約4兆3900億円)に達する自動車メーカーになることを狙っている。それを実現させるには、フランス政府をはじめルノーの主要な利害関係者を納得させなくてはならない。統合によってフランス産業の象徴としてルノーのステータスが脅かされることはないと思わせる必要があるのだ。

 ルノー取締役会は来週初めにFCAと協議に入るか決議する予定であり、こうした懸念は差し迫ったものとなっている。ルノー取締役会の議決権17票のうち6票はルノーの筆頭株主であるフランス政府と労組が握っている。

 フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は、協議を進める価値は認めつつも、さまざまな要求を挙げている。統合会社の取締役会にフランス政府の代表者を含めることや、欧州での電気自動車(EV)向けバッテリー開発への多額の投資などだ。政府はまた、統合会社をルノー・日産・三菱自動車のアライアンスの枠組み内に収めることも求めている。

 事情に詳しい関係者によると、ルノーとFCAの幹部は何カ月も前からコストを分担する策を水面下で探っていた。しかし統合提案が27日に公になったため、時間的な猶予はなくなりつつある。交渉関係者によると、両社とも6月12日に開かれるルノーの年次株主総会までに合意に達することを目指している。