フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のルノーに対する経営統合の提案は、フランスで厳しい視線にさらされている。政府や労働組合、ルノーの一部幹部は、この計画がルノーの価値を過小評価している可能性や雇用を危機にさらしかねないことを懸念している。FCAはルノーと統合し、生産台数で世界第3位、時価総額が約400億ドル(約4兆3900億円)に達する自動車メーカーになることを狙っている。それを実現させるには、フランス政府をはじめルノーの主要な利害関係者を納得させなくてはならない。統合によってフランス産業の象徴としてルノーのステータスが脅かされることはないと思わせる必要があるのだ。ルノー取締役会は来週初めにFCAと協議に入るか決議する予定であり、こうした懸念は差し迫ったものとなっている。ルノー取締役会の議決権17票のうち6票はルノーの筆頭株主であるフランス政府と労組が握っている。