持ち家の取得割合は低下も
「買い時」は続いている
過去10年間、都区部の持ち家率は下落の一途を辿っている。理由はマンション価格の高騰だ。マンション価格は高くなると、供給戸数が減少する。買える人が少なくなるからだ。2000年からの5年間における首都圏でのマンション供給は、年平で均8.8万戸あった。それ、2005年以降は6.0万戸、2010年以降は4.7万戸、2015年以降は3.7万戸へと減少している。8.8万戸あった時代の4割強に過ぎない。
当連載でも述べたように、価格と戸数は反比例する。価格が上がれば、供給戸数は減る。足もとでは、それだけ価格が高騰し、買える人が少なくなったのだ。
30代・40代の5年間での平均持ち家購入率は、2000年以降は8.9%と高かったが、2005年以降は6.5%に急降下し、2010年からは5.7%にまで低下している。この年代が購入の主たる層であるのと、この数字は5年間の結果なので、30歳からの20年間の持ち家取得割合はこの4倍になる。つまり、8.9%×4=約36%が購入していた時代から、5.7%×4=約23%しか買えない時代になってしまったのだ。都区部は戸建てよりもマンションが持ち家の主となるので、マンションは高嶺の花になってしまった。
しかし、購入のチャンスがなかったわけではない。「結婚してから購入を」などと身構えずに、独身時代から「家賃が無駄だから」という理由でマンションを購入していた人は、価格高騰の波に乗れて、次の購入に結びつけることができた。この含み益は次の購入物件の頭金となり、もう賃貸に戻るという選択肢はなくなった人が多い。
また、2013年に上梓した拙著『マンションを今すぐ買いなさい』で、筆者は「これから2年間で25%新築マンション価格が上昇する」と述べたが、実際にその通りになった。経済書のように予測が外れることは、不動産の場合にはない。当連載の過去記事で筆者が述べた予測を読んでいただければ、それを検証できる。