人事採用担当者にとって、内定辞退は非常に頭が痛い問題だ。特に、中小・ベンチャー企業は大企業に比べるとどうしても新卒者の採用では不利であり、内定辞退が相次ぐケースが少なくない。それでも「内定辞退者がゼロ」の会社がある。これら企業は何が違うのか。(株式会社Legaseed代表取締役・人材採用コンサルタント 近藤悦康)
採用担当者が
この時期一番恐れる「内定辞退」
今年の新卒採用は、経団連の就職協定の影響もあり、6月から大手企業が一斉に内定出しを行っています。しかも学生側も、情報化社会の中で、「内定承諾書」を提出しても法的効力がないことは分かっています。
ですから、既に内定を早めに出し、内定承諾書を学生からもらっている企業も、安心できないのが実情です。
リクルートキャリアの調査では、2019年卒の就活生は、1人当たり平均2.46社から内定が出ており、3月卒業時の内定辞退率は67.8%。すなわち10人に内定を出しても3人程度しか入社してもらえないのです。採用したい人材からフラれてしまうのが、採用担当者が一番がっかりする瞬間なのです。
内定辞退率が増加している理由は、就活生の数は横ばいの中、新卒採用を実施する企業が増えているからです。実際に、大手就職サイトのリクナビの掲載企業社数は、2013年卒6242社、2020年卒では3万1943社(2019年6月6日時点)と約5倍に増加しているのです。
特に、従業員が300人未満の中小・ベンチャー企業の求人倍率は8.62倍。「中小だと、新卒採用は難しい…」、最近、経営者とお話するとそんな悲鳴がよく聞こえてきます。しかし、そんな売り手市場においても、「内定辞退ゼロ」の企業も中にはあるのです。私が知っている会社でも、下記のような事例があります。
・大阪の社員26人の製造業で内定3人出して辞退0
・福島の社員62人の製造業で内定6人出して辞退0
・東京の社員18人のコンサル業で内定9人出して辞退0
・東京の社員200人の清掃用具リース業で内定25人出して辞退0