ビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

少子高齢化が進み、一方でAIなどのテクノロジーが発展することで、働き方や業界構造は大きく変化しつつある。その中でもメディア業界は“丸ごとの沈没”が始まっているとマイクロソフト元社長・HONZ代表の成毛眞氏は言う。衰退する業界で働くミドルエイジが生き抜くためにどんな「決断」が必要か。3人の識者から探る。※本稿は、成毛眞『決断-会社辞めるか辞めないか』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

「決断」による収入ダウンはむしろ「当たり前」

 おそらく、もっとも多くの人が気になるのが、主に転職に伴う「決断」によって、その先、収入がどう変わるか、ということだろう。

 特に今現在、転職市場が空前の「売り手市場」となっているし、つい期待してしまう人も多いはずだ。だからこそ、収入のアップを踏まえた「決断」を試みる人も多いだろうが、これはなかなか難しいというのが現実だ。

 そもそも日本では、転職しても賃金が減るケースの方が一般的である。

 厚生労働省の「雇用動向調査」には転職者の収入の変化がまとめられている。それによると、1998年から2014年までは、転職して収入が1割以上減少した人の割合が、1割以上増加した人の割合を常に上回っていた。1990年代後半以降、日本経済が長期停滞していた、デフレだったなど原因はあるが、転職とは、給料が上がるどころか下がるのが当たり前、という行為だったのだ。