一般消費者向けにもオンラインショップで販売しているが、本格的な普及はこれからだ。日曜大工などDIY好きの国民なので、潜在ニーズは高いと高崎は見ている。ただ、アメリカでは商品名がネジザウルスではなく、吸血鬼(ヴァンパイヤ)をイメージさせる「ヴァンプライヤーズ」(Vampliers)で販売している。なぜ、恐竜が吸血鬼に変わったのかは後述する。

「ちょうど先ほど、ドイツのお客様から初受注がありました。ハンマーで有名な工具メーカーですが、初回3000本出荷です。ケルンの展示会で出会って以来、商談を重ねてきました。必ず商談につながるわけではありませんが、大きな展示会には出展するようにしています。ヨーロッパでは他にイタリアやスペインでも取引きがあり、自動車と工具の分野のお客様が中心です。あと、輸出しているのは中国で、来年度からは東南アジアにも進出するつもりです」と高崎は海外展開を語る。

新商品を開発してもヒットなし
ちょっとした「気づき」が転機に

高崎充弘社長「ネジザウルス」シリーズを開発するエンジニアの高崎充弘社長

 エンジニアは1948年に高崎の父と叔父が創業し、様々な工具をつくってきた。ニッパー、ペンチ、ドライバー、レンチ、ピンセットなどから計測器、光学機器など1000アイテムを販売している。量産品では商品企画から設計までを行い、実際の生産は外部の協力企業に依頼するファブレスメーカーだ。現在、ネジザウルスシリーズが売り上げの3割、そのほかの工具や機器類が7割を占めている。

 高崎は東京大学の舶用機械工学科を卒業後、造船会社のエンジニアとして10年間勤務したが、父からの要請で1987年にエンジニア(当時は双葉工具)に入社した。

「小さな組織で歯車になるよりは、やり甲斐があるのではないかと思いました。小学生の頃から父の姿を見て、エンジニアはかっこいいと思って大学も理系に進んだし、つくることが好きだったのですね」

 製品開発が好きだった父の血を引いたのだろう、高崎は入社してから積極的に新商品開発に取り組んだ。1988年から20年間、開発した製品は約800品目に達した。だが、どれも当たらず、ポテンヒットすらなかった。