足元の成長率は潜在成長率を上回っているものの、日本経済の実態は悪化している。経済の長期低迷リスクも否定はできないのが現実だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本経済の実態は悪化
減速感は強まっている

 2018年度の日本の経済成長率(実質GDP)は、前年度比+0.8%にとどまった。経済の実力ともいえる潜在成長率が1%程度とされる日本においては、総じてみれば低迷した1年だったといえる。一方、直近となる今年1-3月期の経済成長率は、前期比+0.6%(前期比年率+2.2%)となった。年率でみた成長率は、2四半期連続で潜在成長率を上回ったことから、日本経済は持ち直しつつあるようにもみえる。

 しかし実態は、むしろ悪化している。1-3月期の「高成長」についても、前期比+0.6%のうち在庫増加による寄与が+0.1%ポイント、輸入の減少による寄与が+0.4%ポイントと大半を占めている。在庫の増加も輸入の減少も内需が弱いことによって生じている部分があり、ポジティブには評価できない。実際、個人消費は前期比▲0.1%と、2四半期ぶりにマイナスとなった。

 趨勢的にみれば、日本経済は減速感を強めている。2016年半ばに在庫調整を終え、生産拡大局面に転じた日本経済は、2017年度に前年度比+1.9%と、2013年度以来の高い成長を記録した。しかし2018年度に入ると、米中貿易戦争の激化、中国経済の失速、世界的な景気減速を背景に輸出環境が悪化した。内需、なかでも柱となる個人消費に力強さが欠ける日本経済においては、輸出が常に成長のバロメーターであったが、牽引力は完全に失われた。

輸出・生産環境は悪化
設備投資の勢いが鈍ってきた

 輸出の減速とともに、生産活動を取り巻く環境も悪化した。生産活動に先行する出荷在庫バランス(出荷の伸びから在庫の伸びを引いたもの:プラスであれば生産活動活発化、マイナスであれば減速を示唆する)は、輸出の減速よりも一足早く悪化しており、足元に至るまで(気象要因でプラスに転じた2018年10月を除いて)マイナス圏での推移が続いている。これは、日本経済が在庫調整局面に再び陥り、生産活動に抑制圧力がかかっていることを意味する。