「消費増税断行ならリーマン級の危機が襲来」説の真実味
今年10月に消費税が予定通り10%に引き上げられたら、リーマン級の危機がやってくるという説は根強い。本当にそんなことがあるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

消費税が予定通り10%へ増税されたら――
根強い「リーマン級の大不況」説

 今年10月に消費税が予定通り10%に引き上げられたら、そのときに大きな不況がやってくるのではないかという説は根強くあります。政府はポイント還元などの政策で増税の悪影響を小さくしようとしていますが、それでも何かを購入するたびに10%の税金を取られるようになれば、誰もが増税を実感するはずです。消費の冷え込みは確実に起きるでしょう。

 7月に国政選挙(参議院議員選)があるので、ひょっとすると増税の見直しがあるのでは、という説も根強くありました。足もとの経済もそれほどよくないということで、政府が方針を見直すのではないかという説ですが、その噂を打ち消すような発表がありました。

 それは、5月20日に発表された今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が、私も含め経済評論家の予想よりもかなり高かったことです。年率換算すると実質経済成長率は2.1%となり、とてもではないですが、増税を止める理由になるような数字ではありません。むしろ財政を健全にするために、増税すべきだという意見を後押しするような結果でした。

 その直前の5月13日には、3月の景気動向指数が発表され、その内容は6年2ヵ月ぶりに経済が「悪化」したと判断されていただけに、この数字は意外でした。

 消費増税を行うと政権の評判は悪くなります。過去の消費税導入や消費増税の際には、何度も内閣の退陣が起きています。世の中には、「重要な発表の裏には必ず政治家の何らかの意図が隠されている」という陰謀論者がかなり存在していて、「もうすぐ政府から増税を延期するような数字が発表されるぞ」とまことしやかに噂されてもいました。それを考えると、今回の発表に関していえば、陰謀としては辻褄が合いません。

 とはいえ、もともと10%への消費税増税が予定されていたのは2015年10月でした。それを安倍政権は一旦2017年4月へ、さらに2019年10月へと、これまで二度も先延ばしにしてきました。過去2回の先送りの理由は、一度目のときは消費低迷が、二度目のときはチャイナリスクの顕在化が主な理由でした。それを考えると、足もとでは米中の貿易戦争でチャイナリスクも米国リスクも当時よりかなり高まっています。よって、今回も何らかの理由をつけて増税を先延ばしにするのではないかという観測があったのは事実です。