そもそも、今の文在寅大統領の下では、会談を行っても成果は得られないだろう。文大統領が韓国の国益を考え、政治を行っているならば、日本の国益と調整することも可能である。しかし文大統領は、どう贔屓目に見ても韓国の置かれた現状を分析し、国益を判断しているようには思えない。

 韓国の主要紙が、今の文在寅政権に最も失望しているのは、故金大中元大統領と故盧武鉉元大統領だろうという解説を載せていたのは興味深かった。それは、両元大統領は進歩系(日本に対して歴史認識など厳しい態度を取る左翼系)の大統領だったが、少なくとも現実は直視し、それに応じて政治をしていた。だが、文大統領は現実を無視した政策をとっているからだと指摘している。現に文政権は、文大統領の側近である左翼系の政治活動家が、自分たちにとって都合のいい社会を作ろうしているだけだという指摘は多い。だとすると、日韓でいくら話し合っても成果は見通せない。

国内からも非難が上がる文政権の稚拙外交

 日韓関係がこれほど悪くなった背景には、文大統領の対日認識が進歩系の識者の中でも極端にずれていることがある。中央日報によれば、文氏は大統領就任2年を迎え、進歩系の元老を大統領府に招き意見を聞く機会を設けたが、席上、元老の多くは日韓関係を見直すべきとの意見だった。しかし文大統領は、「日本は慰安婦や徴用工の問題を政治的に利用している」と述べ、責任を日本に押し付けた。これに対して元老の一人は、歴史問題を政治利用しているのは文大統領の方だと新聞に語ったようだ。

 また、新年の記者会見では、日本は歴史問題について「もっと謙虚な姿勢を示すべきだ」と述べた由である。しかし、この発言は「歴史問題の認識は自分が常に正しく、日本が誤っているから、日本は韓国の認識を取り入れるべきだ」と言っているに等しい。

 文在寅大統領の対日認識がこれほど一方的であれば、日本の立場との接点などありようがない。