話し方が変わると、仕事も、評価も、周囲からの人望も変わります。「この人、感じがいい」という人の話は、よく聞く。「この人、なんだかなあ……」という人の話は、頭に残らない。実はビジネスシーンほど、そうした“見えない心の領域”で多くが決まってしまうのです。新著『できる人は、3分話せば好かれる』を出版した営業コンサルタントの浅川智仁氏が、わずかな時間で相手に好印象を残し、好かれるためのノウハウを教授します。
「会話の達人」は
質問しかしていなかった
「人の心をつかむ会話」の本質を教えてくれる、私の大好きな話をご紹介します。
かつてヨーロッパの社交界に、「会話の達人」として知られた社交家がいました。
パーティーでその人に会った人たちは、「あの人は、本当に話し上手だ」「あの人と話していると、実に楽しい。心地いい」と、口をそろえて言ったそうです。
そこで、会話にコンプレックスを持つ人物が、「『達人』といわれる人がいったい何を話しているのか、ぜひ知りたい」──そう考えて、その社交家が参加するというパーティーに足を運んだのです。
パーティーの当日。会場を見回してみると、やっぱりその社交家の周りには人だかりができて、盛り上がっている様子です。
そうか、そんなにすごいのか。そう思って、輪のなかに入って、「会話の達人」の話を聞いてみると……。
その「会話の達人」は、質問しかしていなかったのです。