現在の国際情勢は
日本のチャンス

 今回、日本はWTOから十分な賛同を取り付けることはできなかった。日本は、この問題を重大な反省点として直視すべきだ。

 むしろ、現在の状況はわが国が自国の発言力を高めるチャンスだ。

 米国のトランプ大統領は、制裁関税を手段に自国に有利な状況を目指している。すでに、米中の摩擦激化によって世界各国のサプライチェーンは混乱している。その中で、日本は政治の安定性を生かし、より多くの国との関係を強化し多国間の経済連携を目指すことができるはずだ。

 6月9日に閉幕したG20貿易・デジタル経済相会議で、わが国は各国とWTO改革が必要との合意を採択できた。これはデータ上の安全性を認めたにもかかわらず、韓国の禁輸措置も容認したWTO最終判断を念頭に置いたものだ。

 このように、他の国が日本の主張に賛同する状況を作り出すことが、国際世論を形成することにつながる。わが国は、アジア新興国や欧州各国との連携を深めることによって、より強固な国際世論の形成を目指すことができる。

 わが国は、極東地域の安定のためにも、自国の考えを分かりやすく各国に伝え、より多くの賛同を得なければならない。北朝鮮は韓国の政治・経済の低迷を機敏にとらえ、自力で対米交渉を進めようとしている。状況によっては、金正恩委員長が強硬姿勢に転じ、米国からの譲歩を引き出すことも考えられる。

 すでに、韓国は前のめりの姿勢で北朝鮮との融和を進めてしまった。これは危険だ。すでに米国が大型の警備艇を派遣したことはそのリスクの大きさを示している。

 わが国は北朝鮮への制裁を維持し、その上で対話を行うことが極東地域の安定に必要であることを中国など世界各国と共有し、逐次、実行していけばよい。そのためには、世界経済のダイナミズムの源泉として期待を集めるアジア新興国などに積極的に経済支援を行い、より多くの親日国を確保することが求められる。