日本では、WTO上級委員会の結論に関して納得がいかないとの意見が多い。Photo:PIXTA

韓国の“ゴネ得”
第三者には疑問の残る決定

 4月、世界貿易機関(WTO)は、「韓国による東日本産水産物の禁輸措置は過度に貿易制限的であり不当とはいえない」との結論を発表した。この結果、日本はWTOの決定で敗訴したことになる。WTOは韓国の主張に科学的根拠がないことを認めたにもかかわらず、今回はその判断には言及せず、韓国の言い分を認めることになった。

 この決定は、われわれ日本人にはよく分からない。韓国の“ゴネ得”を支持するようで納得がいかない。親しい欧米の友人何人かに尋ねてみたが、今回のWTOの決定はよく分らないという意見が多かった。中立の第三者としてみても、やや疑問の残る決定だったようだ。

 最近、わが国にとって距離的に近い隣人は、ますます迷走を極めているように見える。特に文政権は日米中の3国から明確に距離を置かれて孤立感すら漂っている。それに伴い支持率の低下は鮮明化している。

 もっとも、ここで日本は感情的になってはならない。感情的な対応をすると、国際世論を味方につけることが難しくなるからだ。

 日本は納得のいかない「WTO敗訴の教訓」を生かすことを考えるべきだ。国際世論を味方につけ、いずれ、韓国が自らの行動を修正せざるを得ない状況を目指せばよい。

国際世論形成に
不可欠な“根回し”

 2011年3月、東京電力福島第一原子力発電所で事故が発生し、放射性物質が海洋に漏出した。それを理由に、韓国は福島をはじめ8県の水産物の輸入を禁止した。韓国は、他の日本産の食品に対しても検査を強化した。