近年、増加しているという「アポ電強盗」。その手口は、警察や市役所職員などを装い、アタリをつけた家に電話をかけて資産額や家族構成を聞き出す「アポ電」を入れ、ほどなくして強盗に押し入るというものだ。その手口や対処法などについて弁護士法人・響の坂口香澄弁護士に聞いた。(清談社 岡田光雄)
詐欺から強盗殺人へ
暴走するチンピラたち
「もしもし、○○市役所の者ですが、還付金があるため手続きをしたいので、取引銀行と口座番号をお知らせください。また、還付対象者になるかどうかの確認をしたいのですが、口座残高は50万円以上ありますか?」
「○○消防署の者ですが、災害時にすぐに救助できるように、一人暮らしかの確認をとっています。お電話口様は一人暮らしでしょうか?」
「もしもしオレだけど、桃いっぱいもらったから、送っておいたわ。明日届くと思うけど、受け取れる?」
上記は犯罪組織から高齢者宅にかかってくる「アポ電」の一例である。1本目の電話では「資産状況」、2本目では「一人暮らしかどうか」、3本目は「明日の行動」を調べようとするものだ。
国民生活センターも、アポ電とおぼしき不審な電話による被害報告が全国各地から寄せられている、と注意喚起している。一昔前ならば、これらの電話はオレオレ詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺の手口に限ったものだったが、ここ最近は一線を越えて「強盗」の前兆にもなっているのだ。
それを裏付けるかのように、今年1~2月、渋谷区では高齢夫婦宅にアポ電後に強盗が押し入る事件が2件発生した。2月28日には同様の手口で江東区の女性(80歳)が、3人の男に強盗に押し入られ、両手首、両足首を縛られたうえ、窒息死した。