GAFA規制で主役の座狙う独禁当局

 問題の報告書が公表された2日後、政府がまとめた成長戦略実行計画案では、10年間の時限措置ながら銀行の経営統合を独禁法の適用除外とし、統合審査は金融庁が主導。公取委はかたちだけの審査で、実質的にほとんど口を挟めない体制を敷く方針が示されたのだ。

 公取委にとっては完全敗北ともいえる内容で、落胆は大きかった。それだけに、政治との距離の近さを見せつけてきた金融庁が、大きくつまずくそのさまは、留飲を下げるのに十分だった。

「かつての護送船団よろしく、頑張っていただいたらいいんじゃないですかね」

 公取委の別の幹部は、金融庁をそう皮肉る。弱小な銀行を時に過度に保護してきた過去の金融行政に戻って、せいぜい斜陽産業の監督でもしていればいいと言いたいわけだ。

 公取委は目下、今を時めく米グーグルやアマゾンなど、「GAFA」と呼ばれる巨大プラットフォーマーへの規制を巡って、主役の座を虎視眈々と狙っており、組織としての権益拡大につなげようとしている最中にある。

 仮想通貨など金融事業にも乗り出しているGAFAを、公取委が中心となってグリップすることができれば、金融庁との綱引きなど、もはやどうでもよくなるという思惑も垣間見える。

 ただ公取委は、未来投資会議の会合で「デジタル市場についての知見が弱いこともあり、(企業合併の分野において)十分な勘案ができていない」と指摘されてしまうなど、その組織体制はいかにも心もとない。

「談合の摘発ばかりに目を向けて、デジタル分野の知識に乏しいベテラン職員は確かに多い」という声は、公取委の内部からも聞こえてくる。

 組織のプレゼンス拡大に向けて、公取委は今後どう立ち回っていくのか。金融庁をあざ笑うその傍らで、杉本委員長の任期が来夏に迫っていることで「レームダック化」を懸念する声も足元では出始めている。