
新人の考えがわからない。だが、上の世代からは「ちゃんと指導しろ」と言われる。多くの中堅社員が、そうした若手とベテランの間で板挟みに苦しんでいるという。キャリアコンサルタントの上田晶美氏は、ミドル層の声に寄り添いながら、若手の価値観や時代背景を踏まえた指導のあり方を提案する。令和の職場における「中堅社員のリアル」とは?※本稿は、上田晶美『若者が去っていく職場――人事部は知らない!若者の離職の本音』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。
マイルールで行動する
自分勝手な新入社員
「うちの新人には驚きました。取引先を訪問する時間を自分で勝手に変更して、取引先にも伝えてしまったんです」
そう嘆くのはメーカー営業のE子さんです。
「まだ営業に配属されて3カ月というのに、新人の行動には驚かされます。部長と私と新人3人で取引先に商談に行くことになって、部長からは時間がないから10時でと言われたので、私もその予定でした。ところが共有の予定表を見ると10時半になっているではありませんか!あれ?10時じゃなかった?と新人に確認したところ、
『始業が10時なので、10時には行けないと思いまして。取引先に10時半でと伝えました。いつもの時間に家を出て到着するには、10時半がギリギリなんですよ。それで伝えましたが、いけませんでしたか?』
部長は時間がないから10時の朝一番のアポで、と言っているのに、新人のほうが自分の都合を優先しています。せめて取引先に言う前に相談してほしかったと言うと、
『アポを取るのは私の役目だと思っていたので、先輩もお忙しいと思い、自分で連絡しました』と言われて…。