米FOMCは利下げ見送りだが
早期の利下げを示唆
米連邦準備理事会(FRB)は20日、FOMCでフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%で据え置くことを決定した。FOMC投票メンバー10人のうち9人はFF金利の誘導目標据え置きに賛成したが、セントルイス連銀のブラード総裁は0.25%の利下げを求めて反対票を投じた。15年末に利上げを再開したFOMCにおいて、利下げを求める反対票が出たのは初めてとなる。
FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)では、回答者17人中7人が今年(2019年)中に2回、1人が1回の利下げが実施されることを示唆。一方、利上げを見込む回答者は1名にとどまった。
最近のFOMC声明文は、4つのパラグラフ(段落)で構成されることが多い。各段落で示されるテーマは、ほぼ変わらず、第1段落では米経済に関する現状認識、第2段落ではFF金利の誘導目標など金融政策に関する決定とFOMCの今後に対する姿勢が示される。市場関係者は、声明文での第1段落と第2段落の前回声明文からの変化を通じて、FOMCメンバーの考えを推察する。
では、今回のFOMC声明文を前回(5月1日)と比べてみよう。第1段落で記載される米経済に対する評価の部分では、経済活動は「適度なペース」で拡大しているとされ、前回使用された「堅調に拡大している」との表現からややトーンダウンした。また、設備投資は軟化し、金融市場におけるインフレ期待は低下していると、それぞれ下方修正された。
同声明文の第2段落では、FF金利の誘導目標の据え置きを決めたとし、前回と同様の表現で、FOMCは持続的な経済成長、力強い労働市場状況、目標とする2%程度の物価上昇率を見込み続けているとした。しかし、前回声明文ではなかった「見通しに関する不確実性は高まっている」との表現が追加された。
その上で、第2段落では、不確実性およびインフレ圧力が抑制されている点を考慮し、FOMCは経済見通しに関する情報のインプリケーション(意味すること)を注視し、力強い労働市場と2%物価目標、そして経済成長を維持するために適切に行動すると記載された。ちなみに前回声明まで記載されていた(FOMCは今後のFF金利誘導目標をどう調整するかを決めるために)「忍耐強くなる」であろう、との表現は削除された。