激化する米中貿易摩擦。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は悪影響を懸念し、利下げへの金融政策変更をほのめかした。ただ、変更を好感し、株価が上昇したことでさらなる摩擦激化を招く可能性もある。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
中立的スタンスから一転、利下げを示唆
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は金融政策の方針を転換し、利下げへと軸足を移した。パウエル議長は6月4日、米中貿易戦争激化に懸念を示し、「景気拡大を持続するために適切に行動する」と発言して、景気が悪化すれば金融緩和に踏み切る姿勢を見せた。
5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で「金融政策を上下どちらかに動かす必然性はない」と発言していた中立的な立場から態度を一変させた形である。
株式市場は、パウエル議長の方針転換を好感し、利下げ期待から大きく値を上げた。ニューヨークダウは、6月4日から10日まで5営業日連続で上昇し、2万6000ドル台を回復した。日経平均株価も、5日以降約800円上昇し、2万1000円台に乗せた。