側弯症の手術後も肩こりは改善せず、痛みがひどくなった
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肩こりの原因は側彎(そくわん)症?
いきなり手術を勧められた

(…あぁだめ、やっぱり届かないわね)

 自宅のトイレで用を足した後、詩織さん(仮名・56歳)は体をねじり、お尻を拭こうとして手を止めた。自分では精いっぱいねじっているつもりだが、実際にはほとんど正面を向いたまま。トイレットペーパーを持った手はどうしても、肝心の場所には届かない。前方から手を差し入れる方法も試してみたが、やはりだめだった。前かがみにもなれないのだ。

 仕方なく、夫の博さん(仮名・58歳)が作ってくれた「尻拭き棒」の先端にトイレットペーパーを挟み、拭いた。

 シャワー式トイレなので、ちゃんと使えばいいのだろうが、最後は紙で拭かないと気が済まない。やっとの思いでトイレを済ませると、ヨロヨロとリビングに向かい、ソファにそっと倒れ込む。あとはテレビをじっと見ながら、夕食の支度をする時間まで、長い午後を過ごすだけだ。

 こんな状態になった発端は10ヵ月ほど前。公立の大学病院で研修医を務める息子に、「肩こりと首こりがひどいの」と相談したことだった。

 夫婦にとって、自慢の息子だった。ストレートで医学部に合格し、国家試験も通り、大学病院に勤務している。

「それなら、うちの整形外科で診てもらうといいよ。教授はすごい名医だから。僕からも頼んであげるね」

 優しい言葉にうなずき、軽い気持ちで大学病院を受診した。

 身体診察、X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査、血液検査など、丸一日がかりでさまざまな検査を行った後、いかにも優秀そうな「名医」は言った。