トランプ大統領を辞任に追い込める、意外な「弾劾の抜け道」とは
膠着状態が続くトランプ大統領の弾劾問題。実は大統領の弾劾には、意外と知られていない「抜け道」もある Photo:AFP=JIJI

「刑務所にいるのを見たい」
ペロシ下院議長、発言の真意は

 トランプ大統領の司法妨害などの調査をめぐり、大統領と民主党の闘いが激化するなか、6月5日、ペロシ下院議長が党内の会合で、「大統領を弾劾することは望まない。彼が刑務所にいるのを見たい」と述べたという。下院議長といえば大統領、副大統領に次ぐ3番目に重要な地位にあり、しかも百戦錬磨の老練な政治家・ペロシ氏の発言だけに、その真意が注目されている。

 民主党内では現在、「大統領の弾劾審問を始めるべきだ」との声がリベラル派の議員を中心に高まっている。しかし、ペロシ議長は共和党が多数派の上院では大統領を有罪にするだけの十分な票を確保できないなどを理由に、弾劾に向けて動こうとしていない。

 また、弾劾に失敗した場合、トランプ大統領がそれを逆手にとって、「自分の潔白が完全に証明された」と主張し、2020年大統領選で民主党にとって不利に作用するかもしれないとの懸念もあるからだ。

 ペロシ議長はそれらを考慮した上で、「弾劾に進むよりも、議会による調査に集中した方がよい」と判断しているようだが、一方で「すべての選択肢がテープルの上にある」とも語っている。つまり、下院の司法委員会などの調査で重大な証拠が出て、上院の共和党議員の協力が得られるような状況になれば弾劾に進むということであろう。

 ペロシ議長は憲法や法の支配を危険に晒す言動を続けるトランプ大統領を厳しく批判し、大統領の責任を徹底的に追及する姿勢を貫いている。それだけに「大統領が刑務所にいるのを見たい」という言葉の真意は何なのか、考えずにはいられない。

 米国には「現職大統領は起訴できない」という司法省の指針があるため、トランプ氏が大統領でいる限り刑務所に入ることはないが、退任後(辞任後)であればそれはあり得る。そのためには、民主党は大統領を弾劾して罷免するか、あるいは2020年の大統領選でトランプ氏を倒すしかない。果たして、ペロシ議長の頭の中には「トランプ大統領を刑務所に送る」ためのどんな秘策があるのか。