昨年の米大統領選でほとんどのメディアや専門家が民主党のクリントン候補の当選を予測するなか、投票日の2ヵ月前トランプ候補の勝利を予測していた人物がいた。ワシントンDCにあるアメリカン大学のアラン・リヒトマン教授(歴史学)で、過去百数十年にわたる大統領選の結果をもとに考案した独自の選挙予測モデルを使って予測を的中させたのだ。
その教授が今度は、「トランプ大統領は4年の任期を全うできない」と予測し、「弾劾のシナリオ」を具体的に示した著書、“The Case for Impeachment”を出版した。米国の憲法では、「反逆罪、収賄罪、その他重大な罪、または軽罪」を犯した大統領を弾劾できる規定がある。下院議員の過半数の賛成で弾劾訴追され、上院で開かれる弾劾裁判で3分の2以上の賛成があれば、大統領は罷免される。
「ビジネスの世界では不正行為をしても破産宣告や法廷での和解などで責任を逃れることができますが、大統領にはそれは許されない。憲法が定めた、不正行為をした大統領に究極の責任を取らせる方法が弾劾なのです」と主張するリヒトマン教授に、トランプ大統領弾劾の論拠と方法などについて聞いた。