ただ残念なのは、現代アート的な挑戦としては面白い試みだと思うものの、完成品のアートとしての仕上がりはそれほど高くなかったことです。どういうことかというと、たとえばサザビーズに出品したとしても、名だたる現代アート作品ほどの価格では落札されようもない水準だったのです。完成度としては、アメリカのテーマパークに設置される人形レベル。その点では、とても残念な話でした。

修理を担当した工房は
KAWSの模倣犯だった?

 さて、現代アートの世界では、日本のアニメ風の作品が非常に高い価格で取引される現象が起きています。ルイ・ヴィトンとのコラボ作品で世界的に広く知られる村上隆さんがその先駆けだといえば、「なるほど」と思われるのではないでしょうか。

 つい最近では、現代アートをめぐって別の事件も起きています。6月始めに中国のユニクロで、顧客が新発売されたニューヨークのアーティストとのコラボ作品をめぐって激しい奪い合いを繰り広げたというものです。

 それはKAWSというアーティストの作品で、ニューヨークで現代アートとして注目され、今では中国で非常に高い評価を受けています。ちょうどこの直前の時期に、香港のサザビーズでKAWS作品が14億円で落札されたことも話題になりました。KAWSの場合、ほかのブランドとのコラボ商品は軒並み1万円以上で売られているのに、ユニクロとのコラボ商品は1500円で手に入るということで、争奪戦が繰り広げられるほどの人気になったのです。

 なぜ、ここでKAWSの話を持ち出すのかというと、冒頭のスペインの修復問題は、修理を担当した工房が確信犯で行った、KAWSの模倣犯ではないかと思うからです。

 そもそも、KAWSがどういうアーティストなのかというと、ニューヨークのストリートでバス停にあるポスターにいたずら書きのように上書きして、別のアート作品にしてしまうという手法で注目を集めた人物です。