49万部を突破したベストセラー図鑑『わけあって絶滅しました。』。その著者・丸山貴史さんが、6月29日(土)の「世界一受けたい授業」(日本テレビ)に出演した。テレビには、7月19日(金)に発売が決定している『続 わけあって絶滅しました。』の動物も登場!そこで今回は、テレビで紹介された「おしっこのしすぎで絶滅したファソラスクス」のページを特別に公開!
おしっこのしすぎで絶滅したファソラスクス
いかにも、私がファソラスクスである。
はずかしがることはない。なるほど、たしかに私はおしっこをしている。
そしておしっこをがまんする気はない。
しかしあらゆる物事はつねに変化しており、一瞬たりとも同じではない。
たとえば、私は速く走れる足と酸素を効率よくとりこめる気嚢(※)を手に入れたことで地上の王者になった。
しかしそれも永遠ではなかった。地球の環境ががらりと変わってしまったのだ。
大地は干上がり、多くの生物は死に絶えた。
私はすこしでも水のある場所に移動しようとしたが、干からびた大地は広すぎた。
それなのに、私はおしっこをがまんできなかったのである。
よいか、絶滅も尿意も自らの意思とは無関係にやってくる。
一度はじまれば、だれにも止められぬのだ。
※肺への空気の流れを一定にするポンプのような器官。体を軽くする効果もある
こうしていれば、絶滅しなかったかも?
体内の水分を節約するつつましさが私にもあったならば、あるいは
もっと詳しく知ろう
今よりも酸素が薄かった三畳紀に大繁栄したのが、大型は虫類のクルロタルシ類だ。なかでもファソラスクスは原始的な恐竜を食べるハンターだった。しかし、次のジュラ紀には恐竜にとって代わられてしまう。これは、おしっこなどで体の外に排出する水分が多すぎて、三畳紀末の乾燥した気候をのり切れなかったからともいわれているが、たんに運が悪かっただけという説もある。
(本原稿は、今泉忠明監修、丸山貴史著『続 わけあって絶滅しました。』の内容を編集して掲載しています)