かつて地球にあらわれた生き物の99.9%は絶滅しています。
でも……。いったい、どうしてそんなにも絶滅しちゃったのでしょう?
発刊後、たちまちテレビ・ラジオなどで話題沸騰!
わずか1週間で16万部のベストセラーとなった『わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』は、さまざまな理由で地球から消えていった生物の「絶滅原因」を紹介する今までになかったコンセプトの動物図鑑。子どもから大人まで満足できる1冊です。
「アゴが重すぎて絶滅したプラティベロドン」「まっすぐすぎて絶滅したカメロケラス」「笑いすぎて絶滅したワライフクロウ」など、興味深い絶滅のエピソードとともに、「森に引きこもって助かったコビトカバ」など、絶滅しそうでしなかった生物も紹介しています。各ページには生物の基礎情報も丁寧に解説しており、学術的な内容も充実。以下、その内容から一部を特別公開します。
圧倒的カルシウム不足で絶滅
新生代の第四紀、更新世末に絶滅したとされる「オオツノジカ」。さて、この生き物は、どうしてほろんでしまったのか……。その「理由」を、自ら語ってもらいましょう。
ぐぅッ、し、静まれ、おれの角……! ハァハァ、まさかこんなことになるとは。ぐがッ、カルシウムが、角に吸収されていく……!?
お、おれは、アイツと結ばれるために、ほかのオスとの戦いに勝たなくちゃならなかった。だから願ったさ。おれの角よ、もっと強く、もっと硬く、もっと大きく育てとな!
だ、だがしかし……角の成長スピードはおれの予想をはるかに上回っていやがったッ。
角に栄養がとられて体の骨がスッカスカになってしまうほどにッ! さらに森が減って食い物が少なくなったのが致命的だったぜ。すぐに骨折するから、うかつに動き回れねえしな。
ククッ…これが絶望ってやつか。なんだか…眠くなってきたぜ……。早く角から…解放…してくれ……。
卵の殻でも食べてカルシウムをおぎなえばよかった。
「角に栄養をとられて絶滅」したオオツノジカ
オオツノジカのオスの角は、横幅3m、重さ45kgもあった。これでは気軽に水を飲んだり草を食べたりすることもできなかっただろう。
さらに、かれらの角は毎年生えかわる。その時期には大量のカルシウムやリンが必要。
ところが、森林が更新世後期に減少したため、角にとられた栄養を充分に補給できなくなり、かれらは骨がスカスカになってほろんでしまったと考えられている。
(本原稿は丸山貴史著『わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』の内容を編集して掲載しています)