超能力や心霊現象、UFOなど、現代の科学や常識を超越した現象やものを取り上げる「オカルト番組」。一時期は人気を誇っていたものの、ここ10年ほど、テレビではめっきり減ってしまっている。著書『オカルト番組はなぜ消えたのか』(青弓社)があるリサーチャーの高橋直子氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広)
1974年に生まれた
「オカルト番組」
まずオカルト番組とは、そもそもどのような内容の番組を指すのか。これはなかなか定義が難しいところだ。
高橋氏は、「超能力(者)、霊能力(者)、超常現象、心霊・怪奇現象、未確認飛行物体(UFO)、未確認生命体(UMA)など、超自然的現象を企画の中心とする出し物とし、かつ、その真偽を積極的に曖昧にする傾向があるテレビ番組」のことだという。
具体的には、ネッシーや雪男、80年代から90年代にかけて日本中を騒がせたノストラダムスの大予言、霊能力者・宜保愛子、00年代後半の「オーラの泉」が火付け役となったスピリチュアルブームなどが挙げられる。
そのなかでも高橋氏は、オカルト番組というジャンルが成立したのは1974年だと分析する。
「実は60年代末ごろから、すでにオカルト番組が制作され始めていたのですが、当時は何がオカルトなのか、制作側、視聴者側に周知されていませんでした。しかし、70年代に入ってオカルトがブームとなり、74年はスプーン曲げのユリ・ゲラーに端を発する超能力がブームとなり、翌75年1月には日本民間放送連盟が放送基準を改正。新たに『催眠術、心霊術などを取り扱う場合は、児童および青少年に安易な模倣をさせないように特に注意する』と定めたのです」(高橋氏、以下同)
要するにテレビは、心霊術や念力などのオカルトを『安易な模倣を助長しないよう注意』して制作・放送することにしたわけだ。「この事実をもって、テレビ番組中の一ジャンルとしてオカルト番組が成立したと私は捉えています」と高橋氏は言う。